漫画:バーコードファイター
バーコードファイター(著:小野敏洋)
『月刊コロコロコミック』(小学館)で1992年4月号から1994年7月号まで連載。単行本は全5巻で、長らく絶版となっていたが、2004年12月15日に復刊ドットコムから上下巻本として復刊された、禁断の漫画である。
漫画について語る前にひとつ、お久しぶりです。更新のなかった半年間は、あまり暇ではなかったのと、単にめんどくさかったのが理由です。堪忍してください。
仕切り直して今回は、児童誌のホビー漫画を紹介しようと思う。
この作品は90年代始めに発売されたエポック社のおもちゃ、「バーコードバトラー」という商品のホビー漫画である。
このおもちゃがどういった遊びをするものかというと、巷に溢れている商品のパッケージに記載されているバーコードをバーコードバトラーで読み込み、出力されたデータで友人と対戦するというものである。数字の羅列であるバーコードには強いデータを持つ並びの法則性があり、それを巡ってあれこれ研究したり、バーコードを探したりするのがこのおもちゃの肝であり、漫画でも色濃く描かれている。
後述する作風から、マイナーながらも今だにカルト的な人気を誇るホビー漫画で、コロコロの懐かしい漫画が多数リブートされている話題のコロコロアニキ最新号(2016年11月現在)に読み切りが掲載され、俄かに世間を騒がせた。
興味を持ったアニキは、アニキを買って連載希望のアンケを出そう!
著者は上連雀三平(かみれんじゃくさんぺい)、ではなく小野敏洋(おのとしひろ)氏。ペンネームを間違えたことは謝ります、◯ックスの神様に謝ります。
すいませぇん…
さて、どういったおもちゃか知ってもらったところでこの漫画の見所をズバリ挙げさせてもらうと、約20年前の作品であるにも関わらず今でも通用しそうな洗練されたメカデザイン、そして萌えっぽく捉えられないこともない丸っこく可愛いキャラクターだろう。おっさんはカッコいい。
少し前の時代にはあった児童誌特有のお色気描写が多少描かれているのも、著者の作品の特徴である。とにかくこの漫画は小野敏洋氏の冴え渡る画力が素晴らしい。
主人公の虎堂烈(こどう れつ)が操るダッシュビートルを始めに、ライバルたちが使用する機体のデザインもスタイリッシュに、細部に至るまで緻密にクールにモデリングされている。戦闘シーンはそのカッコいい機体が余すことなく動き、技を繰り出し、そして破壊される、文句なく視覚的に満足できる作画で構成されている。
月一で連載していても、次から次へハイクオリティな機体と迫力満点の戦闘の作画を生み出す労力は相当のものであっただろう。
やがて物語が進むにつれ、この手のホビー漫画にありがちな、なぜかおもちゃを利用して世界征服を企む巨悪が登場して、主人公たちが人類の命運を懸けて戦うというよくあるお決まりの展開も用意されている。
他にも実は太古の文明でバーコードが存在していて、その文明はバーコードに滅ぼされたという伝説があったり……。
こうした子ども騙しに過ぎないような唐突な事実の提示に、幼い自分は素直にドキドキワクワクしたものだなあと思うのと同時に、やはり子どもはこうした悪役と正義の味方が戦う勧善懲悪という、物語作品で一番最初に知るような分かりやすい図式を好むのだなと気づかされるのである。
そして、この作品を知る者にとって語るに外せない要素が一つあることをご紹介しよう。というかそればかり語られる。
なんと、冒頭からずっと登場しているヒロインの有栖川桜(ありすがわさくら)が話が中盤に差し掛かったところで、伏線もなく、いきなり、それも唐突に(錯乱)、、、
『男の娘』(おとこのこ)であると判明するのである。(注:男の娘とは見た目がどう見ても女の子なのに性別が♂というキャラクター)
ほげええええええ
ただし当時のニュアンス的にはオカマキャラという扱いになるだろう。伏線に関しては本当のことを言うと男の娘と判明する回の寸前で申し訳程度に存在するが、この衝撃的な事実は当時の純粋無垢な少年読者たちにとてつもない動揺と心の傷を負わせた。
読者を含め登場人物共々驚嘆させた展開だが、幼馴染の烈だけはこの事実を物語の開始以前より知っており、分け隔てなく友達として接していたという背景が明かされる。
こうした烈の優しさを他のキャラクターたちは知って、誤解なくさらに友情を深めるという粋な演出がされている。
ニクィねえ。
それにしても男の娘というキャラ記号がオタク界隈で大きく広まったのはここ数年のことなのに、20年近く前に既に生み出していた上連雀三平氏は、じゃなくて小野敏洋氏の先見の明は流石と言える。
いやあ、すごいなあ。
興味を持って頂けたなら、他の小野先生の児童漫画だと『電撃ピカチュウ』がとてもオススメである。この漫画も女体がウッフゥンアッハァンで素晴らしい。ギエピーよりもこっちの方をずっと続けて読みたかった…
いやあ、ホントに。
……
この場をお借りして一つ申し上げたいが、小学生には健康的でちょっとエッチな表現が必要なのだ。そのときのときめきはやがて美しい思い出となり、人生に豊かさと彩りをもたらすだろう。
純粋な少年の性癖を何かこじらせてしまう罪深い漫画の存在は、問題なのだろうか。
いや、あっていいはずだ。
電撃!ピカチュウ 1―ポケットモンスターアニメコミックス (てんとう虫コミックススペシャル ポケットモンスターアニメコミック)
- 作者: おのとしひろ,石原恒和,田尻智
- 出版社/メーカー: 小学館
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